【レポート】Fashion Biz Study 005 ファッションビジネスのための法律講座3 ファッションのインターネット販売に必要な法律の基礎知識

6月28日(日)に開催しました、「Fashion Biz Study 005 ファッションビジネスのための法律講座3 ファッションのインターネット販売に必要な法律の基礎知識」のレポートです。

Fashion Biz Study 005
ファッションビジネスのための法律講座3
ファッションのインターネット販売に必要な法律の基礎知識
講師:馬場貞幸(弁護士)

講師:馬場貞幸(弁護士)
虎ノ門イデア法律事務所(現・黄櫨綜合法律事務所)パートナー。IT/Web事業の他、アート、ファッション、映画等クリエイティブな事業活動全般について法的支援を行っている。2015年、クリエイティブな文化活動を支援するための専門家NPO「Arts and Law」のメンバーを中心とするプロジェクト「Fashion and Law」に参画。

サポート:小澤恵(Baby, I love you 代表)
ファッション関連のECサイトの立ち上げから運営、Webでのコミュニケーションをサポート。情報交換と交流の場として「女子たちのファッションとウェブ勉強会」を主催。
前職では複数のデザイナーブランドを展開するアパレル企業に在籍。新規事業開発室にて2000年よりWeb、ECビジネスに取り組む。自社運営ECとファッションECモール店の立ち上げから運営までを経験。

Fashion Biz Study 005

はじめに講師の馬場貞幸弁護士から、今回の講座のテーマである、「EC (Electronic Commerce)とはなんでしょうか?」というお話しから始まりました。
そして、ECをつくる法律の「骨」として
1 利用規約
2 関連法領域(特定商取引法・資金決済法・著作権法etc)
3 プライバシー・ポリシー
を提示されました。

Fashion Biz Study 005

1 利用規約

利用規約の内容をどのように設計するかは、それぞれのサービス次第ですが、
(1) ユーザーに対して入り口から出口までサービスの利用方法のルール
・サービス、ユーザーの定義
・サービスの入退会の方法
・アカウントの保有・管理
・サービス内容の変更
・サービスの提供を中断する場合
・権利関係
・禁止事項
・禁止事項に抵触した場合のペナルティ

(2) ユーザーに対して、紛争が生じた場合にその解決方法についてのルール
・返品・クレームへの対応
・なりすまし対策
・免責条項
・損害賠償額の制限
・準拠法
・管轄条項
等を示すことが必要とのことでした。

利用規約の変更とその効力についてもお話しをいただきました。
受講された方からは、「お客様に向けて具体的にどのような方法で、そして規約変更の実施まで、どの程度の猶予をもてば良いですか?」とご質問をいただきました。

2 関連法領域(特定商取引法・資金決済法・著作権法etc)

インターネット販売は関連する法律の領域が幅広く、今回の講座は2時間という限られた時間のなかで、馬場弁護士は基礎的なものをピックアップしてご説明くださいました。
そのなかでも受講された方々の関心が強かったことのひとつが「返品」でした。

インターネット通販における返品について
「法定返品権」
インターネット販売は、訪問販売ではないので、特定商取引法で規定されているクーリングオフによる契約解除は適用されません。
しかし、特定商取引法上の通信販売には該当するため、消費者がインターネット販売サイトで商品を購入した場合は、商品到着後8日以内であれば、消費者は返品に関わる費用(送料など)を消費者自身が負担することで売買契約の解除、返品をすることが可能(法定返品権)とされています。
ただし、インターネット販売事業者が返品の条件を予め明示していた場合は、その条件が優先されます。
つまり、サイト上と最終確認画面に「不良品以外は返品ができません」「セール商品は返品ができません」といった内容を明示していれば、返品不可とすることができます。

3 プライバシー・ポリシー

インターネットのウェブサイトにおいて、収集した個人情報をどのように保護し、また一定条件の元に利用するかをサイト管理者が定めてユーザーに提示するものです。
プライバシー・ポリシーの設置が個人情報保護法上必要とされるのは、大量の個人情報データベースを取り扱う「個人事業取扱業者」に限定されています。もっとも、個人情報を取り扱う事業者である以上、プライバシーに対する考えや扱いをサイト上に示すことは重要です。

4 まとめ

最後に馬場弁護士から、「事業規模が大きくなってからリーガルリスクに直面すると、ビジネスモデルの変更等につながるケースもあって、大きなコストがかかる可能性もあるので、スタートアップ段階で法律専門家を活用をおすすめします。」というコメントがありました。

私は大学では法学部で知的財産権法を専攻して、前職ではファッションECサイトの立ち上げから運営に携わりました。
馬場弁護士のコメントにもあったように、企業の顧問弁護士さん、顧問弁理士さんにご相談をしながらご利用規約やプライバシーポリシー、またサービス名の商標登録などを進めていきました。日々の業務のなかで判断に迷うときも随時、ご相談してきたので安心でした。
今回の講座では私の実務での経験を少しお話をさせていただきました。

Fashion Biz Study 005

このようなインターネット販売に必要な法律の知識を得たうえで、それぞれのECサイトの運営ルールを作られると思います。
お客様と長期にわたって良い関係を築いて、それぞれのECサイトを存続、発展させるために
・お客様にどのようなサービスを提供していくのか
・お客様とどのようなコミュニケーションを築いていくのか
お客様のニーズや時代の変化と合わせながら作っていかれることになろうかと思います。

ご受講いただきましたみなさま、ありがとうございました。
次回のFashion Biz Studyは、8月2日(日)18時~、「ファッションビジネスのための法律講座4 ファッションビジネスにおける模倣品の対策」です。詳細が決まり次第、お知らせします。