【レポート】デザイナー 津村耕佑 × 編集者 徳永啓太 トークイベント

2017年9月24日(日)に開催した、『あさってのファッションとウェブの勉強会 特別企画 デザイナー 津村耕佑 × 編集者 徳永啓太 トークイベント「パズルウエアーから見る服の解釈」〜既成から外れた服と体〜』のレポートです。

イベント開催の経緯

このイベントは編集者・ファッションライターの徳永啓太氏が発行するフリーマガジン第一弾リリースをきっかけに開催しました。このフリーマガジンには、「未来のファッションとは」というテーマのもとで、先天性脳性麻痺で車椅子で活動する徳永啓太さんが関心を持った「パズルウエアー」をデザインされたファッションデザイナー津村耕佑さんの2人の価値観を掛け合わせた対談の内容が掲載されています。また一方的に徳永さんの考え方を伝えるのではなく対話していきたいということが書かれていました。

「あさってのファッションとウェブの勉強会」は参加していただくみなさま同士が教えあったり、一緒に考えたり、調べたりすることを方針としているのでその考え方に共感し、イベントへの登壇を依頼しました。当日は、以下の二部構成のプログラムとしてご来場のみなさまと意見交換する時間も設けました。

プログラム

  • 第一部:デザイナー 津村耕佑 × 編集者 徳永啓太 対談 「パズルウエアーから見る服の解釈」〜既成から外れた服と体〜
  • 第二部:会場のみなさんとディスカッション

第一部の内容

はじめに私から津村さん、徳永さんの経歴をご紹介してお二人の対談に入りました。タイトルとなっているファッションや障害といったキーワードを中心に、デザインのあり方、福祉のイメージの現状、テクノロジーにより社会がどう変わっていき、その未来に何が待ち構えているのかといった話まで、幅広くお話ししただきました。2つのトピックスをご紹介します。

パズルウエアーについて

徳永さんが未来を感じたという、津村さんがデザインされた「パズルウエアー」から対談は始まっていきました。生命体の基本単位である細胞からインスピレーションを受けてつくられたパズルウエアーは、突起とスリットを組み合わせたデザインが一つの単位されていて、それを組み合わせて形成されていきます。英語では「PUZZLE WARE」と表記されるもので、WEAR、洋服だけではなく、装飾品やオブジェなど様々なものを作り出すことができるといったお話しがありました。津村さんが鹿の革で作ったパズルウエアーをつなげて徳永さんに着せてみせてくれました。

「個」への対応

徳永さんから、障害のある方は既製服をご自分に合わせてお直しをするケースが多く、体にあっていないのに既製服を着用することでコンプレックスが浮き彫りになっていくというお話しがあり、パズルウエアーは欲しいだけつなぎ合わせて服を形作ればよいからその問題を解決してくれるというお話しがありました。津村さんからは、ラグジュアリーなオートクチュールの考えかたではなく、テクノロジーの力で「個」へ対応が実現して、それを多くの人々が享受できる未来がくるのではないかなといったお話しがありました。

第二部の内容

今回は、服飾関連のデザイナー、ファッション関連のお仕事の方、医療や福祉に携わる方、IT関連のお仕事の方、弁護士、主婦など幅広い職種と年齢の方がご参加くださり、第二部ではみなさまからも発言をしていただきました。最新の電動の車椅子の情報をウェブサイトで見たり、未来の車椅子はこうなったらもっとすてきなのでは?といった発言や、日本国内の障害者芸術の取り組みのお話し、障害のある方が介護者から一方通行で支援してもらうのではなく、双方向のやりとりがあり選択肢があり、もっとフラットに社会に入ってこれるといいなといったお話しがありました。

まとめ

幅広い話題に2時間では話が尽きず、話し足りない聞き足りないといった感じでした。お集まりいただいたみなさんそれぞれが、お話のなかから考えるきっかけであったり、新しい視点であったりを持ち帰っていただけていたらいいなと思います。