【レポート】第65回 あさってのファッションとウェブの勉強会

「小規模事業者のSDGsへの取り組み方を探る」というテーマで2020年8月26日に開催した「あさってのファッションとウェブの勉強会」のレポートです。

2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられた、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。2030年を達成年限として、17のゴールと169のターゲットから構成されて、貧困や飢餓、紛争、人種差別、社会的格差、ジェンダー、エネルギー、そして気候変動による環境問題と、地球が抱える様々な問題に対して、世界全体で解決を目指そうとするゴール目標です。

達成可能な規模の大きさから、大企業や政府が取り組むものといったイメージもありますが、本来は規模の大小で比べられることではありません。中小企業や個人でのSDGsの取り組みも行われており、地球上の課題を自分ごととして捉えて、個人としても事業者としても、活動につなげる足がかりを掴むために、みなさんと話し合いました。

事前に行った参加者アンケートをもとに、ファッションやライフスタイル関連事業のSDGs事例を中心に紹介しあいました。今回はじめてSDGsという言葉を知った参加者もいた一方で、就労支援施設との取り組みを事業のなかで準備している方の参加もありました。まずは、SDGsとは何かを知ることから始まります。体感的にSDGs理解する、カードゲームを使ったワークショップを体験した参加者からは、その手法や気づいたことを伺いました。複数の参加者が、今回の勉強会に向けて、本やインターネットで情報収集をすることも理解を深めることにつながりました。また2020年7月29日発売の雑誌「FRaU」は、SDGs特集だと参加者が教えてくれて、ハローキティがSDGsを応援するプロジェクトを行っていて、国連と協働していることを知りました。

SDGsが掲げる17の目標と、それを達成するための169のターゲットを見ていくと、身近な問題も多いことがわかります。今回の勉強会で主に話題あがったのは、以下の目標に通じる事柄でした。

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行う
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する

環境問題の話題では、例えば、一足飛びにプラスチックをゼロにするのは難しかったり、プラスチック製品のすべてをすぐに別のものに代替えするのもは難しいけれど、だからダメということではなくて、少しでも減らしていくチャレンジをしていくことが大事なのでは?という声がありました。暮らしや事業のなかで、自分たちにできることを考えて、無理のない範囲で取り組みを始めて、それを続けること、また単独でやろうとせずに、例えばお取引先と連携して活動することも重要ではないかといった意見がありました。

勉強会で話題になった小規模事業者の取り組み事例
SOMA Re:(ソマリ)
https://www.soma-re.com/

AZbonheur(アズボヌール)
http://azbonheur.com/

SDGsへの取り組みは、マーケットからの評価の指標として、事業者の商品購入だけでなく、お取引の開始、融資や投資など際などビジネスの様々な場面で重要な判断基準になっていくと言われます。また、若い世代ほどSDGsへの関心が高いという情報もあります。就職活動では、その企業が社会的責任を果たす意識を持って事業を営んでいるか、が判断の重要なポイントの一つになっているそうです。

新型コロナウイルスの出現で、世界は大きく変わりました。SDGsの取り組みへの影響も気になります。コロナ禍で経済活動をストップせざるを得なかったことで、大気汚染が深刻だった国では、空気が澄んで、遠くまで景色が見えたり、海が澄み渡ったというニュースを目にすると、複雑な気持ちになります。私たちは経済活動、消費活動から完全に離れた暮らしや仕事は難しいです。そのなかでも、経済と社会と環境のバランスをより良くして、持続可能な地球を実現するために、個人として事業者として取り組めるといいなと思います。